映画『ザ・グリード』(原題:Deep Rising / 1998年制作・スティーヴン・ソマーズ監督)に捧げる爆裂・過剰・感涙の14,000字超・超弩級無制限全開映画論
第1章:深海からの咆哮、あるいは「タイタニックを喰らえ!」という地獄のファンファー※請確認是否動物毛皮。動物毛皮製品屬於華盛頓條約条約牴觸物品,無法國際運送。レ
1997年の暮れ、世界中の映画館は一隻の巨大な豪華客船の沈没と、そこで繰り広げられる美男美女の悲恋に涙していた。そう、ジェームズ・キャメロンが巨費を投じて作り上げた金字塔『タイタニック』である。世界中の観客がレオナルド・ディカプリオの美貌に酔いしれ、セリーヌ・ディオンの主題歌に心を揺さぶられ、「タイタニック」という言葉はロマンティシズムと悲劇の代名詞となった。
しかし、そのわずか数ヶ月後、1998年の年初め。映画史の裏街道から、その『タイタニック』という美しい幻想を足蹴にし、巨大な触手でへし折り、消化液でドロドロに溶かして「文字通り丸呑みにして小便として排泄してやろう」という凄まじい野望と狂気に満ちた一発の映画が放たれた。
それが、スティーヴン・ソマーズ監督作品『ザ・グリード』(原題:Deep Rising)である。
もしこの映画に別名をつけるとするならば、間違いなく『タイタニックを喰らえ!(Eat the Titanic!)』以外にはあり得ない。
『ザ・グリード』は、南シナ海を舞台に、巨額の投資によって建造された究極の超豪華メガ・クルーズ客船「アルゴノーティカ号(Argonautica)」が、深海から這い上がってきた巨大な多触手怪物(モンスター)に襲撃され、地獄の屠殺場へと変貌する様を描いたパニック・アクション・ホラーの金字塔である。いや、「金字塔」などという高尚な言葉で飾るのはこの映画に対する不敬かもしれない。これは、ハリウッドのB級映画魂、アクション映画の過剰さ、そしてホラー映画の悪趣味さを特大のミキサーにぶち込み、ハイオクガソリンを入れて爆破させたような、狂熱のハイカロリー・ファストフード・ムービーなのだ!
本作の基本フォーマットは極めてシンプルである。要するに「『エイリアン』+『ダイ・ハード』+『ポセイドン・アドベンチャー』」を巨大なミキサーで混ぜ合わせ、隠し味に『ポリスアカデミー』的なコメディと『インディ・ジョーンズ』的な脱力アクションをふりかけたものだ。
生存者たちは、迷路のような巨大客船の内部に閉じ込められる。怪物はダクトや排水管、通風孔を縦横無尽に這い回り、人間たちが「やれやれ、これで一安心だ」と一息ついたまさにその瞬間に、完璧すぎるタイミングでフレーム内にフレームイン(あるいは爆裂ドカンと壁を突き破って出現)し、哀れな犠牲者を次々とさらっていく。
そして、この怪物の「食事のマナー」がまた最低で最高なのだ。 生存者の一人が戦慄しながら尋ねる。「奴らは…人間を食べるのか(They eat you?)?」 主人公は冷酷に、いやどこか半笑いで答える。「いや…飲むんだ(No they drink you.)」
そう、この映画のモンスターは人間を噛み砕くのではない。生きたまま触手で包み込み、強酸性の消化液を注入して内臓と筋肉をドロドロに溶かし、ストローでジュースを吸うように「生身の人間をまるごと飲んで、中身だけを吸い尽くす」のだ! 残されるのは、生肉の残骸がへばりついた惨たらしい骨と、服の残骸のみ。この「人間ジュース化システム」こそが、本作を単なるモンスター映画から、後世に語り継がれる奇想天外なトラウマ映画へと引き上げた大発明なのである。
第2章:ハリウッドの秘密会議と「既視感のバイキング」——90年代後半におけるパクリとオマージュの限界突破
1990年代後半のハリウッドには、間違いなく「秘密のアイデア共有会議」が存在していたはずだ。そうでなければ、これほどまでに同じような仕掛けやギミックが、同時期の映画で一斉に打ち出されるはずがない!
論より証拠を出そう。
「蛇(モンスター)が腹から消化途中の人間を吐き出す」:映画『アナコンダ』(1997年)で、巨大アナコンダが半分消化されたジョン・ヴォイトをニュルニュルと吐き出して観客を仰天させたと思ったら、その直後の『ザ・グリード』でも、巨大触手が強酸で半分溶けた「半溶けビリー(Half-digested Billy)」をズボッと吐き出す!
「水浸しの室内でジェットスキー(水上バイク)が大爆走」:映画『ハード・レイン』(1998年)で、水没した街の校舎や銀行の中でジェットスキーチェイスが繰り広げられたと思ったら、『ザ・グリード』でも豪華客船の廊下やダンスホールをジェットスキーが水しぶきを上げて爆走し、追いくる触手を銃撃する!
「通風ダクトからの怪物出現」:『エイリアン4(Alien Resurrection)』(1997年)でダクトから凶悪なニューボーンやリプリーのクローン怪物が這い出してきたと思ったら、『ザ・グリード』でも天井のダクトからヌメヌメした触手がドッカンと降ってくる!
「深海・地底からの怪物と、残骸の山」:同じ時期に公開されたディーン・クーンツ原作のホラー映画『ファントム』(1998年)に至っては、舞台が海から陸の町に変わっただけで、やって生み出している惨劇は「『ザ・グリード』が『エイリアン』と出会って西部劇に行った」ような代物であり、怪物が未消化の遺体の山の中に潜んでいるという悪趣味な設定まで完全に一致していた!
ハリウッドのプロデューサーたちは、当時こう話し合っていたに違いない。 「おい、次の怪獣映画には何を入れようか?」 「アナコンダの吐き出しと、ハード・レインの水上バイクと、エイリアンのダクト移動を全部入れよう!」 「天才か!? ついでに『タイタニック』の船も沈めちまおう!」
このように、『ザ・グリード』は90年代後半のアクション・ホラー映画における流行のアイデアを一切の恥じらいもなく全部乗せした「ジャンク故障品(垃圾品)、問題商品、可能無法修理,請注意フードのメガ盛り」なのだ。しかし、ここからがスティーヴン・ソマーズ監督の真骨頂である。普通の監督なら、これほどパクり要素を詰め込めば散漫で退屈な盗作映画になってしまうところを、ソマーズは圧倒的なテンポ感と、計算し尽くされたコメディセンス、そして暴力的な勢い(ノリ)だけで、すべてを極上のエンターテインメントへと昇華させてしまったのである!
第3章:監督スティーヴン・ソマーズの波乱万丈な歩みと、4500万ドルの大爆死
ここで、この狂気の傑作を世に送り出した監督、スティーヴン・ソマーズの軌跡を振り返っておく必要があるだろう。
ソマーズの映画界への道のりは、かなり曲がりくねったものだった。アメリカで学んだ後、スペインへ渡り、さらにはヨーロッパ各地を転々としながらストリート・ミュージシャン(大道芸人)をやったり、ロックバンドのツアーマネージャーを務めたりするという、映画監督としては異色の経歴を持っている。最終的にアメリカ・カリフォルニアに戻って映画を学び、ショートフィルム『Perfect Alibi』で注目を集めた彼は、1989年に低予算の学園コメディ『Catch Me If You Can』で長編監督デビューを飾る。
その後、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズに見出されたソマーズは、マーク・トウェインの古典文学を映画化した『ハックフィンの冒険』(1993年/イライジャ・ウッド主演)を監督し、スマッシュヒットを記録。続いて、同じくディズニーで実写版『ジャングル・ブック』(1994年)を手掛ける。これはインドでロケを敢行した豪華な大作だったが、興行成績はソマーズが期待したほど爆発的なものにはならなかった。
そして1998年。ソマーズはディズニー傘下の成人向けレーベル「ハリウッド・ピクチャーズ」のもとで、約4,500万ドル(一部の資料では6,000万ドルとも言われる)という破格の製作費を投じ、オリジナル脚本による本作『ザ・グリード』(原題:Deep Rising)を立ち上げるのである。
しかし、結果はどうだったか?
製作費4,500万ドルに対して、全米興行収入はわずか1,120万ドル。
大爆死である。見事なまでの大惨敗、大赤字、爆竹のごとき大炸裂である! 一体全体、彼らはその4,500万ドルを何に使ったというのか!? 豪華な客船のセットか? 当時最先端だったCGプロダクション(ILMやDream Quest Images)への外注費か? それとも爆薬代か!?
当然ながら、ソマーズはディズニーから「安物アクションで大金をドブに捨てた男」として冷遇されることとなった。しかし、怪獣はタダでは死なない。この大爆死の直後、ソマーズの才能に目をつけたユニバーサル・ピクチャーズが、彼に古典ホラーのリメイク企画を託すことになる。それこそが、世界中で大ヒットを記録し、ソマーズをハリウッドのトップ監督へと押し上げた『ハムナプトラ/失われた砂漠の魔都』(原題:The Mummy / 1999年)なのだ!
そう、『ザ・グリード』なくして『ハムナプトラ』は存在しなかった。『ザ・グリード』で培われた「テンポの良さ」「極限状態での軽妙なノリ」「過剰なまでのモンスター演出」「ノンストップのアクション」のすべてが、『ハムナプトラ』で花開いたのである。つまり『ザ・グリード』は、偉大なメガヒット作を生み出すための、壮大で贅沢すぎる「準備運動」だったのである!
第4章:あまりにも隙だらけのストーリーと、愛すべき10の大ツッコミ
さて、本作のプロットについて語ろう。 「プロット」などというと高尚に聞こえるが、この映画のストーリーは、まるで太平洋並みに巨大な穴、それこそ「Duramax(大型トラック)をそのまま走り抜けさせることができるほどの巨大な抜け穴」だらけである!
だが、誤解しないでほしい。我々B級映画愛好家にとって、このプロットホール(設定の穴)こそが、最高のご馳走であり、笑い所なのだ。ここで本作の愛すべき「大ツッコミどころ」をいくつかピックアップしてみよう。
【ツッコミ1】主人公フィネガンの胡散臭すぎる「便利屋」設定
トリート・ウィリアムズ演じる主人公ジョン・フィネガンは、高速魚雷艇風の武装ボート「サイパン号(Saipan)」の船長であり、「金を払えば何でも運ぶ」という裏社会の運び屋だ。 …ちょっと待ってほしい。20世紀末の現代において、ミレニアム・ファルコン号みたいな個人所有の超高性能・武装スピードボートで国際請注意日本當地運費,確認後再進行下標。テロリストや傭兵を運ぶビジネスがどうやって成立するのだ!? 彼は一体何者なのか? 元海軍なのか? 特殊部隊なのか? 過去の経歴に関するバックストーリーは一切説明されない。ただ周りの傭兵たちが「おお、フィネガンか、久しぶりだな」みたいに知ったかぶりをするだけ。観客は「あ、そういうノリね」と納得するしかない。
【ツッコミ2】傭兵グループの「誰も殺さない魚雷作戦」という謎論理
ウェス・ステューディ率いるハイテク武装傭兵集団は、アルゴノーティカ号を襲撃し、金庫の金品を強奪した後に船を魚雷で撃沈する計画を立てていた。そして彼らは「よし、誰も殺さずにスマートにやるぞ」などと宣う。 …おいおい! 豪華客船に魚雷を撃ち込んで沈めるのに「誰も殺さない」とはどういうことだ!? しかも彼らが持ち込んでいる銃火器は、リロードなしで1,000発連射できる中国製のガトリングガンや重機関銃である。殺気満々じゃないか!
【ツッコミ3】怪物の出現タイミングが「奇跡的すぎる」
これが最大のツッコミどころである。水深30,000フィート(約9,000メートル)の深海溝に棲む未知の巨大多触手生物オトイシ(あるいはオクティノーム)が、何千年も深海にいたくせに、アルゴノーティカ号がオーナーの陰謀によって通信とエンジンを遮断された「わずか20秒後」に襲いかかってくる! いくらなんでもタイミングが良すぎるだろ! 怪物は船のエンジンが止まるのを深海でストップウォッチを持って待っていたのか!?
【ツッコミ4】4億8,700万ドルの船を保険金目当てで沈めるという狂気のオーナー
アンソニー・ヒールド演じる船のオーナー、キャントン。彼は『タイタニック』の4倍に相当する4億8,700万ドル(約500億円)をかけて究極の豪華客船を造った。しかし、建造途中で「あ、これ客を乗せても元が取れないや」と気づき、あらかじめ傭兵と結託して初航海で船を沈め、保険金を騙し取ろうとする。 正気か!? 500億円の船に保険をかける保険会社が、初航海で痕跡もなく沈んだ船に対して「はい、そうですか」と保険金を払うと思っているのか!? 警察や海洋保険の査定員が全力で調査しに来るに決まっているだろ!
【ツッコミ5】なぜか船の全システムが「CD-ROM」で動いている
1998年当時、すでにハードディスクや高速サーバーは一般化していた。しかし、この最新鋭メガ客船のメインコントロール室では、船の全システム、セキュリティ、通信が「普通のCD-ROM」で稼働している! 怪物が襲来した際、通信を復旧させようとしたエンジニアが「ダメだ! CD-ROMが読み込めない!」と叫ぶシーンは爆笑必至である。500億円の船の運命が、傷つきやすい光ディスク1枚に委ねられているのだ!
【ツッコミ6】トイレから女性を吸い込む怪物
船内のトイレで化粧直しをしていた女性(クレジット名:「The Toilet Lady」)が、便器の中から現れた触手に腰を掴まれ、そのまま狭い便器の穴の中にズルズボボボッ!と引きずり込まれて死亡する。 物理的にどう考えても人間が便器の配管を通るわけがないのだが、CGと特撮の力技で無理やり引きずり込む! 「モンスターが来たら、絶対にトイレに逃げ込んではいけない」という教訓を、映画史に刻んだ名シーン(珍シーン)である。
【ツッコミ7】深海生物なのに、なぜか目がバッチリ見えて、空気中で大咆哮する
水深9,000メートルの完全なる暗黒世界に棲む生物なら、目は退化しているはずだ。しかし、この怪物には巨大で不気味な赤目があり、船内の照明の下でもバッチリ人間を認識して追いかけてくる。 さらに、肺も声帯もないはずのウニやタコのような軟体生物のくせに、通風管の中から「ヴォオオオオオオオン!!!」という、怪獣映画のような腹に響く大咆哮を響かせる! 「なぜ陸上で呼吸できるのか? なぜ叫べるのか?」という問いに対し、劇中で主人公フィネガンは一言こう言い放つ。 「理科の授業は終わりだ!(The science lesson is over!)」 観客の疑問を力技でシャットアウトする、最高の脚本である!
【ツッコミ8】救命ボートが大量にあるのに誰も逃げ込めなかった謎
船には数千人の乗客がいた。そして甲板には大量の救命ボートが吊り下げられている。それなのに、誰一人として救命ボートで脱出できた者がいない。全員が船内で触手に捕まり、ジュースにされてしまった。怪物の手際が良すぎるのか、乗客のパニック耐性がゼロだったのか…どちらにしても恐ろしい話である。
【ツッコミ9】水上バイクの鍵を「3つとも持って行かない」マ抜けさ
終盤、水上バイク(ジェットスキー)で脱出しようとするシーン。なぜか鍵が3つ並んでいるのに、主人公たちは1つだけ取って逃げようとし、後から追ってきた敵に別の鍵を使われて追撃される。全部持っていけばいいだろ!
【ツッコミ10】ラストの島が「もっとヤバい島」だった
命からがら爆発するアルゴノーティカ号から脱出し、近くの無人島に漂着したフィネガン、トリリアン、パントゥッチの3人。「やれやれ、助かったぜ…」と胸を撫でおろした瞬間、島の奥から巨大な地鳴りと咆哮が響き渡り、木々がなぎ倒される。 そう、そこは怪獣王キングコング(あるいは恐竜)が潜む「ドクロ島(Skull Island)」だったのだ! 「今度はこれかよ!(Now what?)」というフィネガンの絶叫とともに映画は幕を閉じる。どこまで観客を食い散らかせば気が済むのか!
第5章:超豪華にして無駄遣い! キャスト陣の奇跡的な熱演とキャラクター解剖
本作の魅力の8割は、この無謀なB級映画に全力投球した豪華キャスト陣の「顔力」と「熱演」にある。彼らは誰一人として手を抜いていない。真剣にバカをやっているからこそ、本作は奇跡の娯楽作となったのだ。
【アルゴノーティカ号の生存闘争:主要人物相関図】
┌─────────────────────────────────┐
│ ジョン・フィネガン │
│ (トリート・ウィリアムズ) │
│ 「金があれば何でも運ぶ」 │
└────────┬───────────────┬─────────┘
│ │
信頼と呆れ │ │ 軽妙なロマンス(?)
│ │
▼ ▼
┌───────────────┐ ┌────────────────┐
│ ケーイ・パントゥッチ │ │ トリリアン・セント・ジェームズ│
│(ケヴィン・J・オコナー)│ │ (ファムケ・ヤンセン) │
│ 愚痴まみれの機関士 │ │ 美しき女スリ・怪盗 │
└───────────────┘ └────────────────┘
▲ ▲
│ 対立・命の取り合い │ 捕獲・利用
▼ │
┌───────────────┐ │
│ ハンノーヴァー ├───────────────┘
│ (ウェス・ステューディ) │
│ 冷酷無比な傭兵リーダー │
└──────┬────────┘
│
│ 買収・裏切り
▼
┌───────────────┐
│ サイモン・キャントン │
│ (アンソニー・ヒールド) │
│ 強欲な船のオーナー │
└───────────────┘
1. ジョン・フィネガン(演:トリート・ウィリアムズ)
本作の主人公。一見するとハン・ソロやインディ・ジョーンズを思わせる、やさぐれた冒険家タイプだ。彼の口癖は「If the cash is there, we don't care.(現金があるなら、口出し無用)」。仕事の依頼主がどれほど怪しくても、金さえ払われれば深く追求しない主義である。 トリート・ウィリアムズの素晴らしさは、彼が「ブルース・ウィリスやアーノルド・シュワルツェネッガーになりきれない、ちょっと情けない男」を最高のアクションヒーローとして演じ切っている点だ。 彼が劇中で放つ捨てゼリフの数々を見てほしい。
「今度は何だ?(Now what?)」
「まったく、最悪の一日だぜ(This is turning out to be one hell of a day.)」
「勘弁してくれよ(Cut me some slack.)」
「働き詰めだぜ(I'm working too hard.)」
「参ったね、まったく(Jeez Louise.)」 どれもこれも、ハリウッドのアクションヒーローが言うようなカッコいい決めゼリフではなく、「ただの疲れたおっさんの愚痴」なのだ! この脱力感こそが、フィネガンという男を猛烈に愛おしくさせる。なお、この役は当初ハリソン・フォードにオファー※請確認是否動物毛皮。動物毛皮製品屬於華盛頓條約条約牴觸物品,無法國際運送。されたが拒否されたという。ハリソン・フォードよ、断ってくれてありがとう! おかげでトリート・ウィリアムズの最高傑作が生まれたのだから!
2. トリリアン・セント・ジェームズ(演:ファムケ・ヤンセン)
『007 ゴールデンアイ』(1995年)で太ももで男を締め殺すツンデレ殺人鬼オナトップを演じて一躍脚光を浴びたファムケ・ヤンセン。本作では、豪華客船に潜入して大金持ちの金庫から宝石を盗もうとして捕まり、船倉の牢屋に閉じ込められていた美しき女スリを演じている。 彼女が牢屋に閉じ込められていたおかげで、怪物による最初の「大虐殺」から偶然生き残ったという展開が見事だ。ドレス姿でショットガンをぶっ放し、水中に潜り、モンスターから逃げ惑う彼女の美しさとタフさは、映画に華やかな彩りを与えている。
3. ケーイ・パントゥッチ(演:ケヴィン・J・オコナー)
フィネガンの相棒であり、サイパン号の機関士。本作における「絶対的コメディ・リリーフ」である。 『エイリアン2』のビル・パクストン(「もう終わりだ、おしまいだー!」と叫ぶバスクエスと同僚のあの男)の系譜を継ぐ男だが、オコナーの演じるパントゥッチはさらに粘り強い弱虫だ。何かが起こるたびに悲鳴を上げ、ブツブツと愚痴をこぼし、誰よりも早く逃げようとするが、土壇場ではなぜか生き残る。 スティーヴン・ソマーズ監督はオコナーのコメディセンスを酷評・絶賛し、後の『ハムナプトラ』の不快だが憎めない裏切り者ベニ役や、『ヴァン・ヘルシング』のイゴール役として重用することになる。パントゥッチの「Jeez!」という悲鳴なしに、『ザ・グリード』の楽しさは半減していたと言っても過言ではない!
4. ハンノーヴァー(演:ウェス・ステューディ)
傭兵グループの冷酷なリーダー。『ラスト・オブ・モヒカン』や『ヒート』で圧倒的な存在感を示した名優ウェス・ステューディが、ここでも怖すぎる顔面と鋭い眼光で画面を支配する。 怪物に襲われて仲間が次々と死んでいく中でも、「金庫を開ける」「金を運ぶ」ということだけに執着する狂気の男。しかし、最後は怪物に足を喰われ、フィネガンに銃と弾丸を要求するも、残されたのは「1発の弾丸が入った銃(自決用)」という、因果応報の惨めな末路をたどる。その散り際も含めて、悪役として満点である。
5. サイモン・キャントン(演:アンソニー・ヒールド)
アルゴノーティカ号のオーナー。『羊たちの沈黙』でレクター博士を不当に扱う嫌味な精神科医チルトン博士を演じたアンソニー・ヒールドが、ここでも「世界一むかつくインテリ悪党」を完璧に演じている。 自分の失敗を隠蔽するために何千人もの乗客を船ごと沈めようとし、自分だけが助かろうと仲間を裏切り、怪物の生態について「これは深海の原始的な環形動物で…」と理屈をこね回す。観客の誰もが「早くこいつを喰撃してくれ!」と願うタイミングで、期待通りに怪物に消化液を注入されて悲惨な死を遂げる。彼のクズっぷりがあるからこそ、映画の爽快感が倍増するのだ。
6. メイソン(演:ジモン・フンスー)
傭兵の一人。前年にスティーヴン・スピルバーグ監督の重厚な歴史大作『アミスタッド』(1997年)で主人公の奴隷シンケ役を演じ、アカデミー賞級の絶賛を受けたジモン・フンスーが、なぜかこの映画でバカでかいガトリングガンを振り回す脳筋傭兵として出演している! 圧倒的なスクリーン・プレゼンスと肉体美を見せるが、怪物に襲われて惨死。『アミスタッド』の直後にこの映画に出ていたという事実は、彼のキャリアにおける最大の愛すべき謎である(絶対スピルバーグの映画より前に公開されてほしかったと本人は思っていたはずだ!)。
第6章:SFXの巨匠ロブ・ボッティンと、特撮・CGが織りなす「地獄のビジュアル」
『ザ・グリード』を語る上で絶対に外せないのが、モンスター・デザインと特殊メイクを手掛けた伝説のクリーチャー・デザイナー、ロブ・ボッティン(Rob Bottin)の存在である。
ロブ・ボッティンといえば、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X(The Thing)』(1982年)や『ハウリング』(1981年)、『ロボコップ』(1987年)で映画史に残るグロテスクかつ美しい造形美を生み出した伝説の天才だ。
本作におけるモンスター(オトイシ / 巨大多触手生物)は、ボッティンの変態的とも言える造形美学が爆発している。
【ロブ・ボッティン謹製:巨大多触手生物の構造】
┌────────────────────────┐
│ 巨大な本体(母体) │
│ 深海に潜む超巨大な塊 │
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┌────────────────┴────────────────┐
│ │
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┌───────────────┐ ┌───────────────┐
│ 捕食触手 (先端)│ │ 捕食触手 (先端)│
│ 【小さな口】 │ │ 【小さな口】 │
│ 鋭い歯がびっしり│ │ 鋭い歯がびっしり│
└───────┬───────┘ └───────┬───────┘
│ │
│ 消化液注入 │ 人間を吸い尽くす
▼ ▼
┌────────────────────────────────────────────────┐
│ ドロドロに溶けた人間(「飲む」プロセス) │
└────────────────────────────────────
この怪物の恐ろしさは、本体(頭部)が超巨大であると同時に、無数に伸びる触手の「先端」自体が、まるで独立した生き物のように独自の目や「鋭い歯が生えた口」を持っている点にある。 つまり、人間を襲う一本一本の触手が、それ自体で思考し、噛みつき、人間を丸呑みにする「小モンスター」として機能しているのだ! 触手が口を開くと、その内側からさらに小さな触手と歯が飛び出してくるという、エイリアンの二重アゴ(インナーマウ ス)の触手版のような悪夢的構造。
さらに、劇中で観客に強烈なトラウマを与えたのが、「半溶けビリー(Half-digested Billy)」と「骨の山(ボーン・ルーム)」の演出である。
物語の中盤、客船の巨大な大宴会場(ボールルーム)に辿り着いた一行は、そこに人っ子一人いないことに気づく。しかし、足元には一面の血の海と、無数の服、時計、靴が散乱している。そして怪物の巣窟となったその部屋の奥には、数千人分の人間の肉が吸い尽くされ、削ぎ落とされた「生々しい骨の山」が築かれていたのだ! このシーンの静かなる絶望感とグロテスクさは、B級ホラーの域を超えた本物の恐怖を醸し出している。
そして、触手の中から吐き出される「半溶けの生存者・ビリー」。 彼はまだ息があり、「助けてくれ…痛い…」と呻くが、その身体は怪物の強酸によって皮膚と肉がドロドロに溶けており、顔面がドロッと崩れ落ちて死亡する。このシーンの特殊メイクの出来栄えは完璧であり、R指定(17歳未満鑑賞不可)に恥じない「血と粘液とドリップ液」の惨劇を見せつけてくれる。
エンドクレジットに輝く「Half-digested Billy(半分消化されたビリー)」や「The Toilet Lady(トイレの貴婦人)」という配役名は、本作がどれほど悪趣味なユーモアと特撮への情熱に満ち溢れていたかを示す名誉の勲章なのだ!
第7章:サントラ界の巨匠ジェリー・ゴールドスミスによる「無駄に完璧な音楽」
この映画がB級映画でありながら、なぜか超一流のハリウッド大作のような風格とテンポ感を保ち続けているのか? その最大の理由は、音楽を担当した映画音楽界の巨匠、ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith)の手腕にある。
ゴールドスミスといえば、『猿の惑星』『エイリアン』『ランボー』『トータル・リコール』『ハムナプトラ』などで知られる、映画音楽史上の神様の一人だ。そんな超大物が、なぜこの「巨大タコが豪華客船で人間をジュースにして飲むバカ映画」の音楽を引き受けたのか!?
だが、ゴールドスミスは一切の手抜きをしなかった。 彼はフルオーケストラとシンセサイザーをフル駆動させ、南シナ海の暴風雨を思わせる重厚なブラスセクションと、モンスターの恐怖を煽る不気味な弦楽器の旋律、そしてフィネガンたちの決死の脱出劇を彩る躍動感あふれるアクション・テーマを作曲した。
特に、サイパン号が荒波を突き進むオープニングのテーマ曲や、ジェットスキーでの爆走シーン、そしてラストの爆破脱出シーンで流れる音楽は、聴く者の血を沸き立たせる圧巻の出来栄えである。 画面で起きていることは「便器から人が吸い込まれる」「消化途中の男が溶ける」というバカバカしい映像なのに、耳から入ってくる音楽は『エイリアン』や『インディ・ジョーンズ』並みの超一流クラシック・オーケストラ。この「映像のバカバカしさと音楽の崇高すぎることのギャップ」こそが、『ザ・グリード』を唯一無二のエンターテインメントに仕立て上げている秘密なのだ!
第8章:『ザ・グリード』から学ぶ「モンスター映画を生き残るための16の鉄則」
本作は単なる娯楽映画ではない。我々が将来、豪華客船に乗って未知の海獣に襲われた際に生き残るための、極めて実践的な「生存バイブル」でもある。劇中で提示された教訓をここにまとめておこう。────────────┘
【『ザ・グリード』版:モンスターサバイバル 16の鉄則】
1. 豪華客船が怪物に襲われたら、絶対にトイレに逃げ込むな!(配管から吸い出される)
2. 絶対に一人で行動するな!(真っ先に触手の餌食になる)
3. 命がけで防衛戦を行っている生存者に、後ろから静かに近づくな!(撃たれる)
4. 船の通信・セキュリティシステムを「CD-ROM」で運用するな!
5. 厨房(キッチン)なら安全だなどという幻想を捨てるな!(ダクトから来る)
6. 罪もない金持ちが乗った船を魚雷で沈める詐欺計画に乗るな!
7. 暴風雨の中、20フィート以上の高さから走っているスピードボートに飛び降りるな!
8. どんな時も、ショットガン(あるいはガトリングガン)を手放すな!
9. エレベーターを使うな、階段を使え!(エレベーター内は密室の屠殺場になる)
10. あらゆる乗り物の「初航海(Maiden Voyage)」には絶対に乗り込むな!
11. エンジン部品が詰まったバックパックを忘れて逃げるな!
12. 銃を持った狂気の傭兵を二度信用するな!
13. 弾丸を全部無駄遣いして、自分の頭を撃つための最後の1発を忘れるな!
14. 生きたまま怪物に消化されるまで長生きするな!(さっさと逃げろ)
15. 海上から逃げ延びた先が無人島だからといって安心するな!(そこはドクロ島だ)
16. ハリソン・フォードが降板した役のオファー※請確認是否動物毛皮。動物毛皮製品屬於華盛頓條約条約牴觸物品,無法國際運送。が来たら、トリート・ウィリアムズのようにノリノリで受けろ!
この16の鉄則さえ頭に叩き込んでおけば、南シナ海で水深9,000メートルから巨大タコが湧き出してきたとしても、落ち着いてジェットスキーで脱出できるはずだ!
第9章:パッケージとメディア展開に見る悲哀と、カルト映画としての永遠の威光
映画館での興行大爆死の後、『ザ・グリード』はどこへ行ったのか? そう、レンタル商品有可能為租借使用,非賣品ビデオショップの棚である!
VHS全盛期からDVD創世記にかけて、本作はビデオ屋の「アクション・ホラーコーナー」で異彩を放ち始めた。映画館で観なかった人々が、パッケージの不気味な巨大な目と「彼らは君を飲む」という怪しげなキャッチコピーに惹かれて借りて帰り、観て絶句したのだ。 「なんだこの映画…めちゃくちゃ面白いじゃないか!!!」
口コミは広がり、深夜の洋画劇場で放映されるたびに実況掲示板やSNS(後年)は大爆発。映画ファンたちの間で「隠れた最高級B級アクションホラー」として熱狂的に語り継がれるようになった。
しかし、パッケージソフト(DVD / Blu-ray)の扱いには不遇の歴史がつきまとった。
DVDメディアにおける悲劇と珍事
アメリカで最初に発売されたDVDは、16:9のワイドスクリーンに対応していない劣悪なレターボックス仕様で、特典映像も皆無という悲惨な扱いだった。 ヨーロッパ盤(特にベルギー盤)では、わずかにメイキング映像やインタビュー、トレーラーが収録されていたが、全体的に「ディズニー(ハリウッド・ピクチャーズ)が見捨てた黒歴史」のような扱いを受けていたのだ。
日本のDVDも長らく入手困難となり、プレミア価格がつく事態となった。 しかし、本物の傑作は消えない。映画ファンたちの熱烈な再評価の声に応え、後年、HDリマスター版やBlu-ray版がリリースされると、世界中のボンクラ映画マニアたちが歓喜の声を上げた。
パッケージの裏面に書かれた「『ダイ・ハード』×『エイリアン』×『タイタニック』!」という一見すると安易なキャッチコピー。しかし、実際に観てみると「本当にその通りのものが、それ以上のスピード感で襲いかかってくる」のだから、詐欺でも何でもない。これほど誠実なB級アクション映画が他にあろうか!
第10章:結論——なぜ我々は今も『ザ・グリード』を愛し続けるのか?
映画批評家たちは時に、映画を「芸術性」「社会的メッセージ」「複雑な人間ドラマ」といった尺斤で測ろうとする。そして、そうした尺度から見れば、『ザ・グリード』の点数はゼロ点に近いかもしれない。メッセージ性など何一つない。人間の深層心理も描かれない。テーマは「巨大なタコっぽい怪物が襲ってきて、人が溶かされて、爆発して、ジェットスキーで逃げて、コングの島に着く」ただそれだけだ。
しかし、映画とは本来、「圧倒的な娯楽(エンターテインメント)」ではなかったか!?
映画館の暗闇の中で、あるいは自室のソファでポップコーンを突きながら、 「おいおい便器から人が吸い込まれたぞ!」 「ガトリングガン撃ちすぎだろ!」 「またCD-ROMかよ!」 「理科の授業は終わりだ! ガハハハ!」 と腹を抱えて笑い、血沸き肉躍り、手に汗を握る。
これこそが、映画というメディアが100年以上かけて磨き上げてきた「見世物小屋の快楽」の原点ではないか!
スティーヴン・ソマーズ監督は、自分が何を作っているかを完璧に理解していた。彼は高尚な名作を作ろうとしたのではない。「観客を106分間、一瞬たりとも飽きさせない最高級のファストフード」を作り上げようとしたのだ。
豪華な船のセットを造り、ロブ・ボッティンにグロテスクなモンスターを造らせ、ジェリー・ゴールドスミスに壮大なオーケストラを奏でさせ、トリート・ウィリアムズとファムケ・ヤンセンとケヴィン・J・オコナーに全身泥と血まみれになって走り回らせる。4,500万ドルという巨額の資金を投じて作られた、史上最も贅沢で、最も過剰で、最も愛すべきB級怪獣映画。
それこそが『ザ・グリード』なのだ。
『タイタニック』が映画史の表舞台で黄金の光を放ち続けるならば、『ザ・グリード』は映画史の深海3,000メートルの暗闇で、ヌメヌメとした触手を光らせながら、永遠に我々を魅了し続ける。
今夜、あなたももう一度、アルゴノーティカ号への初航海へと旅立とうではないか。 フィネガン船長のあの頼もしくも情けない声が聞こえてくるはずだ。
「理科の授業は終わりだ! さあ、パーティーを始めようぜ!!!」
【Argonautica - Good times forever!(アルゴノーティカ号——楽しい時間を永遠に!)】