■はじめに
以下いささか長文となりますがお読み頂ければ幸いです。
興味のない方は以下の商品説明までスルーしてください。
メーカーはスピーカーユニットそのものから開発しその能力を最大限に発揮させる為にトータルで
システム開発している点が一般のマニアやオーディオ評論家がユニットを購入して箱に収めて完成と
するのとでは根本的な違いがあります。
極論を言ってしまえばどんな箱に入れてもスピーカーはそれなりに鳴ります。
例えば写真10が当方がビギナー時代に自作したスピーカーですが当時JBLパラゴンに影響を受けて
サブロクの合板の長さ180cmを一杯に使った左右一体型のバックロードホーンでネットも左右一体型で
JBLのオリンパスをイメージしましたがとてもそこまでの完成度は無理でしたが・・・・
コーラルの10CX501を搭載しその後パイオニアのスコーカーPM-12F、ツイーターPT50
ネットワークDN30、アッテネーターAT-8Sを追加してマルチウェイ化した物です。
自作スピーカーの上に鎮座しているのはTechnics SB-30です。
自作スピーカーの上にはTechnics You-OZ販促品であるブルドッグの人形にパイオニアのヘッドホンを掛けていました。
写真で比較頂ければ自作スピーカーの大きさが想像できるかと思います。
私なりに渾身の作でしたが友人に2万円で手放した事を今でも後悔しています。
数年前の帰省時にあるショールームで某有名オーディオ評論家が設計したと言う首の長い頭頂部に
口径8cm程度のフルレンジ一発を組み込み首下に複雑なバックロード構造のベースを有した
スピーカーシステムを試聴する機会がありましたが解説員の方も「設計者自身も聞き方によって時には
ラジカセ以下の音にも聞こえる。」との事でしたが鳴り出した瞬間にとても試聴に耐えない物だったので
その場をすぐに立ち去ってしまいました。
私はフロントやバックにロードを掛けた違和感を伴う低音は好みではありませんが
それでもパラゴン(昭和55年頃の定価は確か165万円程でした。)は見事に調教されていましたね。
仙台市の某オーディオショップで2026年2月にJBL、3月にTADとmcintosh、7月にLUXの試聴会がありました。
私なりの感想を述べた上で出品の商品について説明させて頂きます。
理由は当時のリーズナブルなSB-RX30の音質が現在のペアで200万円ほどのスピーカーに対しての
ポジションがどのぐらいかという事を想像して頂きたいからです。
SB-RX30と比較にならない程の高額なシステムの感想を記載していますが当時のTechnicsの
同軸平面ユニット(特にSB-RX50)はこれらと肩を並べると言うのはさすがにおこがましいですが決して見劣りのしない
高音質なスピーカーでした。
●JBL(2月)
同社のこれからのコンシュマーシリーズの頂点を担うSUMMIT(サミット)シリーズで
3機種を試聴させて頂きました。
ドライブアンプはマークレビンソンでした。
A】 SUMMIT AMA
200mm 38mmD2コンプレッションドライバー 2ウェイ ( 1,430,000円/本)
B】 SUMMIT PUMORI
250mm 200mm 38mmD2コンプレッションドライバー 3ウェイ ( 2,200,000円/本)
C】 SUMMIT MAKALU
300mm 200mm 76mmD2コンプレッションドライバー 3ウェイ (3,300,000円/本)
ハーマンインターナショナルの説明ではそれぞれのクラスの頂点としての位置付けとしての
今回3機種の同時デビューとの事ですがいずれもペアで購入となると相当な金額です。
A】は200mm径にしては結構締まりと量感のある低域でバランスが良くこの口径としては
豊かな表現力で音場感も優れた物でした。
B】は更に低域の諧調の表現力が特にすぐれていたと思います。
C】はこれらとは別格で緻密感や表現力、エネルギー感も一気に解放されさすがに
このシリーズのトップモデルだと感じました。
視野が広がり山の裾野が広がった様な印象です。
試聴曲がジャズばかりだったのでクラシックなどはどのような表現力があるかは不明でした。
●TAD(3月)
A】ME1TX-SW
160mm 90mm/25mmドーム 同軸 M、H 3ウェイ (1,738,000円/ペア )
B】E1AX-GW
160mmX2 90mm/25mmドーム 同軸 M、H 3ウェイ ( 3,410,000円/ペア )
ドライブアンプはTAD A1000S (インテグレ-テッドアンプ 3,080,000円)
メーカー解説員によるとME1TX-SWはサイズも小さくエンクロージャーも
構造的にあまりさわれないがE1AX-GWはトールボーイのフロアタイプなので
色々やれたとの事ですが個人的には試聴前からその点が多少引っ掛かりが
ありました。
ME1TX-SWの最大の特徴はミッドハイが同軸で構成されている点と小型システムの強みとして
ユニットが強靭なエンクロージャに支えられ独特なバスレフ構造を採用している事に尽きると思います。
かってパイオニアは1981年に40cm角の巨大な平面同軸4ウェイユニットを搭載した言わば実験機的な
スピーカーシステムSF-1(840,000円/台)を発売していました。
Technicsの平面同軸スピーカーシステムSB-RXシリーズが発売される1986年より5年もさかのぼり
まさしくパイオニアです。
ME1TX-SWはエンクロージャー両側面に、E1AX-GWは底面にバスレフポートを設け外部に設けた
ホーン形状を有したリフレクターでポートから排出された低音を前後に振り分ける特殊なバスレフ方式です。
ME1TX-SWは160mmウーハーとは思えない量感と締まりがあって濁りや淀みの無い素晴らしい低域でした。
このスピーカーと比較しても全く無意味ですが数年前に所有したJBLのA130(20cm2ウェイ 25,000円/ペア)の
バスレフで過度にチューニングしたピンぼけの低域とは別世界です。
ME1TX-SW はペアで軽自動車が購入できてしまう程の金額で決して安価ではありませんが
そう思えば踏み出しも不可能では無いかと思いました。
このスピーカーをベストの状態で鳴らし切る専用のスピーカースタンド(16kg)も付属しているのが
TADの配慮と言うべきか、
このスピーカーなら家中のスピーカーを一掃してこれだけでも充分と本気でそう思います。
そうは言ってもあくまで16cm口径の範疇での評価であってその低音が箱鳴りの無い強靭な
エンクロージャーに搭載された38cm口径のウーハーの地の底から湧き上がる様な低域を凌駕する物では決してありません。
それは同じ時速120km/hで走行しても大排気量の車とターボで加給された軽自動車でそのフィーリングが
全く違うのと同様です。
試聴時に音が出た瞬間にその低域再生能力に驚愕しましたがしかし冷静に捉えれば
小口径で重低音を再生する考え方はAVシステム用のサブウーハー技術が既にあります。
それらも16cmや20cmの小口径でも驚く程の表現力がありME1TX-SWは
その延長線上にある技術開発では無いかと推測していますがその低音の質感の高さは充分評価できます。
同軸のミッド、ハイも特に高域は突き刺さる様な音質ではなくニュートラルできれいに伸びきっています。
何より定位が良く音場感、空気感の表現が素晴らしく全体域に亘ってバランスがすこぶる良いのにいたく感心しました。
広帯域の同軸ユニットを採用し点音源化を図った効果が如実にその音場感に表れていると思います。
ME1TX-SWのユニット構成は40年以上も前に発売されたTechnicsSB-RXシリーズに一番近いユニット構成だと思います。
後日そのお店で伺った話ですがME1TX-SWを購入したお客様が更にサブウーハーを2台追加されたそうですが
どんな音になったのかとても気になります。
一方E1AX-GWはウーハー2発でエンクロージャーにもゆとりがありさぞかし素晴らしい音質かと
期待しましたがそれ程でも無いというのが第一印象です。しかもペアでほぼ倍額です。
確かに低域の量感は増しますが若干甘さを感じME1TX-SWより低域の質感がやや
劣る気がします。
前述の解説員の色々触る事が出来たというのが私的にはまだ箱鳴りが残っていて
低域に僅かに濁りが残りぼやける印象があります。
構造的にさわる事ができたのではなくエンクロージャーの剛性確保の為に色々さわらざるを得なかったと
言うのが開発側の本音と受け取れる様な音質でした。
●mcintosh
CDプレーヤーとアンプはmcintoshですがスピーカーはフランスのリバイバルオーディオの
AYALANTE 7 EVOの組み合わせによる試聴です。
CDプレーヤー MCD600 (1,650,000円 )
プリアンプ C55 (1,870,000円 )
パワーアンプ MC312 (1,760,000円 )
スピーカー リバイバルオーディオ AYALANTE 7 EVOは(1,980,000円 ペア 専用スタンド付属)
玄武岩繊維をサンドイッチした38cm口径のウーハーに7.5cmと2.8cmのソフトドーム構成による
54.6kgとそこそこ重量のあるエボニーの突板仕上げによる立派なエンクロージャーです。
エンクロージャーの中程に組小細工の様に色味の違う木目のラインが胴縁の様に回されており
なかなかシックで丁寧に作られています。
金額的にTADのME1TX-SW (1,738,000円/ペア )と約24万円の差しかありません。
創業者は有名オーディオメーカーを何社か経験した香港の方だそうですがその経験を積んで
リバイバルオーディオを立ち上げまだ歴史の浅い会社だそうです。
低域は大口径38cmの良さがストレートに出て余裕のある鳴り方です。
話はそれますが以前タンノイのturnberryを所有した事がありその時はLUXのSQ-38signature
とオーディオ評論家も推奨する様な組み合わせで聴いていましたが
箱鳴りによるカラーリング(癖)が強すぎてとうとう物にする事なく手放してしまいました。
この上位機種もバックロード的な負荷を掛けて箱全体で音楽を奏でる楽器的な発想は
オーディオ草創期にはとても効果のある音響技術だったかもしれませんが
現代のHI-FIと言う評価軸からすれば最早あのコンセプトは古すぎるのでは無いかと個人的には捉えています。
似た様な鳴り方ではクリプシュの折り曲げフロントロードホーン構造のBelleKlipchが
ありますがこれも朗々とした音質で長時間の試聴でも聴き疲れのしない音質ですが
そもそも豊かな低音と箱鳴りとは全く次元が違うと常々感じています。
それでもこれらのスピーカーに決まった様にダンピングファクターの低い真空管アンプアンプを
組み合わせたゆったりした鳴り方を楽しむ根強いファンが沢山おられるのも事実です。
要は好みや価値観の違いですのでそれは否定できませんが明確でカチッとした音を好む私には合いません。
ところでAYALANTE 7 EVOのミッド、ツイーターは材質の音がそのまま出ていて突き刺さる様な音は皆無ですが
高域は上の方まできれいに伸びています。
前述のJBLD2ドライバーによるエネルギー感のある中高域とは対照的で
どちらかと言えばやや昔の80年代の音に近い印象ですがその解像力はそこそこ高いと感じました。
TADのME1TX-SWは16cm口径の限界を超越したすばらしい低域とこのAYALANTE 7 EVOは
理論通りの大口径かつ低振幅で大容量の空気を放出する余裕のある低域でした。
はてさてどれを選ぶかとなると切れ味のするどいJBL SUMMIT AMA(ペアで286万円)か
ゆったり伸びやかなAYALANTE 7 EVO(ペアで198万円)かTADのME1TX-SW (1,738,000円/ペア )
かどれも高額なシステムですが唯一AYALANTE 7 EVOが大口径ウーハーを搭載した大型システムです。
設置スペースを考えればジャンルを選ばない点とこのサイズと小型モニターしての情報量とバランスの
良さでTADのME1TX-SWですが価格差のあまり無いAYALANTE 7 EVOも魅力があります。
●LUX(7月)
創業100周年を記念した新機種を中心の試聴会でした。
コントロールアンプ C-10X (1,500,000円)
CDプレーヤー D-100 CENTENNIAL(百周年と言う意味)(1,500,000円)
モノラルパワーアンプ B-100 CENTENNIAL(2,500,000円/1台x2)
アナログプレーヤー PD-191A(900,000円)
MCカートリッジ LMC-5(240,000円)
フォノイコライザー E-07(500,000円)
スピーカー FOCAL Maestro Utopia Evo(6,800,000円/ペア)
何と言ってもモノラルパワーアンプ B-100が肝ですね。
※25Wまでは純A級動作で定格出力125W(8Ω)重量61.5kg
ダンピングファクターは何と1,000です。(内部インピーダンスは0.008Ω)
納品はピアノ輸送業者になるそうです。
FOCAL Maestro Utopia Evoは93dbと非常に高能率ですので
ほとんど純A級の領域での試聴だったと思います。
非常に純度が高く非の打ち所がない
再生音楽のトップの領域に近いこれぞピュアオーディオだと実感できる音質でした。
無論各機器の相乗効果もありますがこの音質に寄与しているのは間違いなく
B-100 CENTENNIALだと思いました。※システム合計 16,440,000円
その後自宅で改めてSB-RX50を試聴しましたが非常にニュートラルで前述のパイオニアME1TX-SW
に肉薄すると言いますかこちらの方が同軸2ウェイユニットによる点音源化とリニアフェイズ理論に基づきフルオーケストラの
クラシックなどの音場感はむしろME1TX-SWより格上では無いかと感じました。
JBLのL100クラシックとも聞き比べましたが低域の量感は無論JBLに軍配が上がります。
昭和55年頃はJBLのL300も所有していましたが38cmウーハー136A、ミッドはLE85とHL92、ツイーターは077と強力な
ユニット構成でL100クラシックはその音質には遠く及びません。
SB-RX50は女性ボーカルなどは等身大で浮かび上がり薬師丸ひろ子さんのアルバムでは録音スタジオのおおよその
空間の広さが感じ取れるぐらいで本当に侮れないスピーカーです。
そう思うとME1TX-SWのユニット構成がウーハーと同軸2ウェイの中高域のユニット構成(3ウェイ)となっているのは
ウーハーが特殊なバスレフ構造でそれを実現させるために個別になっているのではないかと推測してしまいます。
Technics同軸平面スピーカーに興味のある方は是非SB-RX50もラインナップに加えてください。
ところで今回のTechnics SB-RX30です。
旧テクニクス(大阪守口工場)初の内製スピーカーユニット採用モデルとして
SB-RX50/RX30/R100/R200/SB-F75が生産されていました。
RX50/R100/R200/F75は熱可塑性樹脂をハニカム状に成型しその両面にアルミスキン材を貼り付けた振動板ですが
RX50のみ表面のスキン材はピュアクロスカーボンでした。
唯一RX30のみ振動板は発泡マイカ製となっておりF75は同軸平面では無くオーソドックスな3ウェイシステムです。
同ブランドのスピーカーでも同軸コアキシャル平面スピーカーでかつリニアフェーズ方式を採用した
これらのスピーカーは非常にプレミアムなスピーカーです。
SB-RX50は当時試作段階で試聴しましたが今まで聞いた事の無い高レスポンス、広帯域フラットで色付けの無い素晴らしい音質でした。
RX50を含む内製ユニットを搭載したスピーカーはどれも音飛びが良く、正確無比で情報量も多く
非常に高音質なスピーカーでした。特にツイーターの性能が秀逸で録音環境までもが聞き取れるほどで
空気感や音場感、ゆるぎない定位感などが従来のスピーカーを超越していました。
SB-RX30(発売当時27、500円/台)も非常にリーズナブルなスピーカーでしたが小型モニターとして